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医療法人財団健康睡眠会 静岡睡眠メディカルクリニック
(内科・呼吸器内科)
〒420-0858
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9-4 福一伝馬町ビル2階
TEL:054-274-0843
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SASや睡眠に関してのQ&A

SASに関してのQ&A

皆さまのご質問を地方情報誌に掲載しましたら、連載終了後も記事のお問い合わせがございましたので紹介いたします。

1.いびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関連を知って
 症状をチェックしてみましょう

1.いびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関連を知って症状をチェックしてみましょう
  • いびきがひどい人は睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではないかと、忠告されましたがどうでしょうか?
  • 疲れた時や飲酒後の就寝時にかく一時的ないびきは心配ありませんが、常習的ないびきはSASが疑われます。気道が狭くなればなるほど、また空気を吸い込む量が増えれば増えるほど、いびきの音は大きくなります。
    睡眠中は主に副交感神経が働いて身体を休める状態にありますが、いびきをかいている状態は一生懸命呼吸している状態ですので、日中と同じように交感神経が活発になっております。そのことにより血管が収縮しやすくなり、その結果、血圧が高くなります。血圧が高い状態が夜間繰り返されることにより血管系疾患(心筋梗塞、脳卒中など)発症のリスクも高まってきます。
  • 食生活改善やストレス解消などで血圧を管理していますが、SASにならないように気をつけることも必要ですね。
  • SASは気道が閉塞することにより呼吸気の流れが止まったり、低下したりすることが主な原因です。就寝時に時々息苦しくなり脳が覚醒してしまい熟睡できていません。日中眠たくてたまらない、起床時の頭痛や頭重感、夜間頻尿などがあるようでしたらSASを疑ってください。
    また、SASと高血圧の因果関係についても触れましたが、SASを治療したら血圧が下がったという例は多く報告されています。
    重症になると日常活動の低下や不眠症も引き起こし、さらにひどくなると知力や性格に影響したり、うつ状態にまで進んでしまうこともあります。

2.睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治療して合併症の発症や
 進展を予防しましょう

2.睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治療して合併症の発症や進展を予防しましょう
  • SASはどのような病気を引き起こすのですか。
  • SASの患者さんの多くが高血圧を合併しています。
    睡眠中に呼吸が止まる状態が続くことで身体全体が酸素不足になり、心臓に昼間以上の負荷がかかるため、高血圧や動脈硬化を誘発することとなります。
    さらには、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高まるものと考えられます。
    また、睡眠時無呼吸状態の間に、何度も呼吸を回復していますが、急激に酸素量が回復すると血液中に活性酸素が発生し、インスリン拮抗ホルモン分泌が促され、糖尿病やメタボリック症候群の発症も高まるものといわれています。
  • SASは夜間頻尿に影響していますか?
  • 睡眠時の無呼吸は、低酸素状態により交感神経を緊張させ、カテコラミンなどのホルモン分泌を促進するため血流量の増加がみられ、腎臓では血液ろ過量が増加することで排尿が促されるものと考えられます。
  • SASは成人男性の病気と思っておりましたが?
  • 女性のSAS患者さんは男性の半数程度との統計もあります。
    閉経後、プロゲステロンが減少することで、呼吸中枢への刺激が減少して、SASを招きやすくなるといわれています。
    小児にもSASがみられることがあり、成長障害や学習障害、行動異常などの原因になることもあります。
    一方老人のSASの場合、明らかな症状を示さないことが多いようですが、動脈硬化および脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高まることは十分疑われます。
    また転倒や夜間頻尿、認知機能低下、嚥下障害など高齢者特有の症状発症リスクも高まってきます。
    いびきや昼間の眠気の他、血圧がなかなか下がらない方も、一度検査を受けることをお奨めします。

3.睡眠時無呼吸症候群(SAS)になる原因と頻度を
 観てみましょう

3.睡眠時無呼吸症候群(SAS)になる原因と頻度を観てみましょう
  • SASはどうして起るのですか?
  • 閉塞性SASは上気道の一部が狭くなり、呼吸気流が悪くなって、睡眠中に呼吸が低下したり止まったりする病態です。
    そのことにより高血圧や動脈硬化を伴う循環器系の合併症を引き起こしやすくなります。狭くなった気道を空気が通るためいびきをかくことが多くなります。
    ところで、日本人は南方モンゴロイド系の縄文人と、北方モンゴロイド系の渡来弥生人との混血であり、現代人は縄文系20~30%、弥生系70~80%の割合で構成されていると云われています。弥生系の遺伝子要因を継ぐ現代人は、頭蓋骨格が前後に短く上下に長いという特徴を有しています。そのため日本人は欧米人に比べ下顎部が狭く、SASになりやすいともいわれています。
    また、戦後日本人は硬いものを昔ほど食べなくなったことから、下顎の発達にも影響が出ています。肥っていなくても舌が大きく、顎の小さい方はSASの出現する確率は高いといえます。
  • SASの疑いがある方は何人ぐらいいるのでしょうか?
  • 米国の研究では男性の4%、女性の2%がSASに相当するだろうと報告されています。これを我が国に当てはめると、男性が200万人程度、女性が100万人程度と推測されますが、前に述べたように欧米人よりSASになりやすい要素を考えると、それ以上SASを疑われる方はいるものと思われます。
    有病率は加齢とともに増大し、男性では60歳代がピークとなり、女性では閉経後の増加が著しくなります。

4.シリーズ最終号は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療です

4.シリーズ最終号は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療です
  • 閉塞性SAS(OSAS)の治療について教えてください。
  • 閉塞性SASは上気道の一部が狭くなり、呼吸気流が悪くなって、睡眠中に呼吸が低下したり止まったりする病態ですので、閉塞箇所を広げてやればよいのです。
    それには外科治療と保存治療があります。それぞれに長所短所があり、患者さんの適応を考慮して選択します。
    外科治療の代表的な手術に口蓋垂(のどちんこ)軟口蓋の形成術があります。
    他には口蓋扁桃摘出術、鼻中隔、下鼻甲介や舌根部の手術があります。
    これらを選択したり組み合わせしますが、完全に無呼吸状態が改善するという保証はなく、手術してみなければわかりません。また太ったりすると改善しても再発することもあり得ます。
    他の治療法が全て無効であれば気管切開術があります。
  • 手術をするとなると患者さんの身体的負担も大きいですね。
  • 保存治療としては、経鼻持続陽圧呼吸療法(CPAP)があります。上気道の狭くなった部分に陽圧をかけ広げて、睡眠時に継続して呼吸する治療法です。適切に使用すると無呼吸状態やいびきをかくことがほとんど消失します。
    口腔内装置療法としてのマウスピースは軽症から中等症のOSASに有効です。
    肥満が原因の場合は減量により、またSASが比較的軽い場合など側臥位で就寝することにより気道の狭窄が軽減されることもあります。

睡眠の必要性

Q&A 睡眠は、なぜ必要ですか?

1日の睡眠時間を8時間とすると1日の3分の1。つまり人生の3分の1は、睡眠時間に費やしています。私たちが健康に生活するうえで睡眠は重要な時間であり、安易に睡眠時間を短くするのは間違いです。

睡眠とは単なる活動停止の時間ではなく、脳のもつ生命体に必須の生理機能が営まれる時間域です。具体的には、脳の記憶保存や再生、消去といった情報処理機能や、脳からの指令による身体の修復、成長、免疫力回復といった生命維持機能も行っています。

Q&A 睡眠は、なぜ必要ですか?

しかし24時間社会の構築に伴い、交代勤務の増加、睡眠時間の短縮、ストレスの増加などが原因で、不眠をはじめとするさまざまな睡眠障害に悩む人が増えています。睡眠不足は日中の集中力を低下させ、勤労意欲や活動力を低下させる(社会経済的損失)と同時に、生活習慣病との関連(健康被害)が強いことがわかってきています。

質の良い睡眠をとることは、私達が日々健康で豊かな生活を守るために重要なことなのです。

いま一度、ご自身の睡眠について見直して下さい。

Q&A 質の良い睡眠とは?

睡眠時間が短いことが問題なら、睡眠時間をできるだけ長くする、といった単純な対応だけでは解決策にはなりません。私達の睡眠は特有の睡眠パターンがあります。正常な睡眠パターンをご紹介します。

Q&A 質の良い睡眠とは?

右の図は一夜の睡眠経過を示したものです。私達の睡眠は、まず大きく分けてノンレム睡眠とレム睡眠に分けられます。さらにノンレム睡眠は、睡眠段階1から4までに分けられます。

段階が大きいほど深い睡眠であることを示します。通常、ノンレム睡眠の睡眠段階1からはじまり4まで進み、その後レム睡眠へ移ります。レム睡眠は約90分ごとに出現する性質があり、ノンレム睡眠の開始からそれに続くレム睡眠の終了までを睡眠周期と呼びます。一夜の睡眠ではこの睡眠周期が4~5回繰り返されます。さらに、この睡眠周期は一定ではなく、深い睡眠である段階3と4は、寝はじめて2~3時間に多くみられます。一方、レム睡眠は朝方に多くみられます。

それではノンレム睡眠とレム睡眠の違いは何でしょう。ノンレム睡眠中は副交感神経系の活動が活発となり心拍、血圧、呼吸などの活動が低下し、成長ホルモンなど成長に必要な物質の回復や、免疫活性物質の分泌が行われています。一方、レム睡眠では自律神経系全般の活動が激しく行われ、夢を見るのはこの時です。つまり、ノンレム睡眠の働きは、休息と回復、成長と成熟に関与し、レム睡眠は様々なレベルで行動制御プログラムの点検と更新が行われています。

Q&A 質の良い睡眠とは?

また、成長や加齢に伴い睡眠時間も、さらにはノンレム睡眠とレム睡眠の割合も変化しています。左の図が各年齢での睡眠時間を示しています。新生児期は16時間眠り、その50%はレム睡眠が占めています。その後成長とともにレム睡眠は急激に減少し、睡眠時間が緩やかに減少していきます。

睡眠時間は長ければ良いというわけではありません。ノンレム睡眠とレム睡眠が適切に入れ替わる睡眠が質の良い睡眠です。